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- アフリカビジネスの未来を切り拓く ~官民連携ミッション参加レポート~
2025年1月12日~17日にかけて、当社代表の小林とマシナリー事業部(農機具リユース)責任者(兼 執行役員)の有馬が、外務省が主催し、藤井比早之外務副大臣を団長とした「令和6年度アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション」に参加した。このミッションは、アフリカ諸国との経済関係強化を目的としたもので、日本企業のアフリカ進出を促進するための取り組みである。
本記事では、本ミッションの概要や参加の背景、タンザニア連合共和国、ケニア共和国への訪問の様子や、今後の展望について紹介する。
アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションは、2008年の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)※で表明された、日本とアフリカの貿易・投資促進を目的とした官民合同の取り組みです。 2025年8月に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)においても、官民連携は主要なテーマの一つとして掲げられています。
さらにこのミッションは、日本企業の更なるアフリカ展開の促進も目指しています。2008年の第1回派遣から数えて14回目となる今回は、民間企業32社、外務省、経済産業省の参加者を併せ、総勢54名が参加しました。
※アフリカ開発会議(TICAD)とは
アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development)は、アフリカの開発をテーマに、日本政府が主導して開催する国際会議です。1993年に第1回会議が開催されて以来、アフリカ諸国と国際社会との協力関係を促進する上で重要な役割を果たしてきました。 アフリカ開発会議は、日本とアフリカの双方にとって、政治、経済、社会、文化など、さまざまな分野における協力関係を強化するための貴重なプラットフォームとなっています。
アフリカでは、依然として多くの農作業が人の手で行われており、生産性向上のための機械化が課題となっています。 また、農家の高齢化や気候変動の影響など、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
「持続可能な社会を実現する最適化商社」を長期ビジョンとして掲げる当社にとって、こうした課題を中古農機具を通じて解決できるのではないかと考え、今回のミッションに参加しました。
また、MEにはこれまでアフリカ圏の8カ国の大使が来訪しており、ケニア、エジプト、ナイジェリアへの輸出実績もあります。アフリカの農業課題の解決と中古農機具の市場開拓は、将来的に互いに利益をもたらすWin-Winの関係であり、それを実現できる可能性があると考えたことも、今回のミッション参加の背景の一つです。
さらに農機具だけでなく、今回訪れたタンザニアとケニアで走行している車のほとんどが日本の中古車という側面から考えると、車の輸出にも可能性があり、アフリカは今後成長が見込まれる市場です。 しかしアフリカへの進出や、現地での持続可能な農業の実現に向けたサポート体制を構築するには、MEだけで進めていくよりも、政府機関から支援を受ける方が良いと考えていました。そこで、JICA、JETROや政府関係者との連携を深め、アフリカへの進出を広く検討していくために、今回のミッションに参加しました。
今回のミッションでは、タンザニア連合共和国とケニア共和国の2カ国を訪問しました。
各国で政府関係者や企業と交流し、アフリカ市場の現状やビジネスチャンスについて意見交換を行いました。 また、現地企業の工場視察や、市場調査なども行い、アフリカ市場への理解を深めました。
タンザニアでは、コサト・デイビッド・チュミ外務・東アフリカ協力副大臣との会談、マジャリワ・カシム・マジャリワ首相への表敬訪問や、ダルエスサラーム港、タンザニア鉄道公社などを視察しました。
また自由時間には、現地の実情を知るために商店街なども視察しました。
政府が公共の移動手段を整えましたが、乗車賃が高く、国民全体のポピュラーな移動手段ではまだないようです。
首都ドドマとダルエスサラームを結ぶ鉄道が生まれても、ひとたび都心中央から外れると、町中での移動は乗り合いのマイクロバスが主流のよう。タンザニアでは「ダラダラ」と呼ばれているそうです。
ケニア政府主催で開催されたビジネスフォーラムやネットワーキングランチでは、現地法人の方とさまざまな意見交換をするなかで、日本の中古農機具への関心の高さを感じました。
また視察では、経済特区のタトゥ・シティ、いすゞ自動車の子会社、モバイルマネーを活用したM-KOPA社や地熱発電所、トヨタケニアアカデミーなどを訪問しました。
特に、住友商事社をはじめ複数の日系企業が出資するM-KOPA社の視察では、リープフロッグ現象(※)の実態をより深く理解する機会になり、アフリカならではのビジネス展開を目の当たりにしました。
一方で都市部を離れると、人や動物が農業に従事し、放牧や昔ながらの農法で耕作されている畑もあり、 開発途上な面も垣間見えました。
※リープフロッグ現象
リープフロッグ現象とは、開発途上国で、従来の技術段階を飛び越え、最新の技術やサービスが普及する現象です。
例えば、固定電話の普及が十分でない地域でいきなり携帯電話が普及したり、銀行口座を持たない人がモバイルマネーを利用するようになるといったケースが挙げられます。アフリカでは、リープフロッグ現象により最新のテクノロジーが急速に普及。特に、モバイルマネーの普及は著しく、金融包摂や経済発展に大きく貢献しています。
今回のミッションを通して、マシナリー事業を代表して参加した有馬は次のように語っています。
「実際に2カ国を訪問し、現地の実情を知ることで気づくことがたくさんありました。
持続可能な農業を実現するために、私たちはただ中古農機具をアフリカに輸出すればいいのではありません。政府、JICAやJETROなどの関係機関と連携し、事業を進めることが鍵になると考えています。
簡単な道のりではないと思います。ですが、まさに後世に誇れる事業を創り上げていくことができると私は信じています。」
今回のアフリカ官民連携ミッションへの参加を通して、MEはアフリカ市場の大きな可能性と課題を改めて認識しました。経済成長の潜在力の高さと技術革新の速さに反比例して、インフラ整備の遅れや、都市部と農村部の差などを目の当たりにしました。
これらの課題を克服し、アフリカのますますの発展のためには、政府や関係機関との連携や現地に根ざしたサポート体制を構築していく必要性を感じています。
MEは、今回のミッションで得た知見を活かし、アフリカ市場への進出を加速させ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
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株式会社マーケットエンタープライズは東証プライム上場企業です。「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、ネット型リユース事業を中心に、メディア事業、モバイル通信事業を展開しています。
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