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「コントロールできるものを選択するだけ」。挫折を乗り越え、ズバ抜けた結果を出し続ける経営者の話

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ネット型リユース事業を中心に、メディア事業、モバイル通信事業などを展開しているマーケットエンタープライズグループ(以下、ME)は、現在国内16拠点・海外1拠点を構え、従業員450名、グループ5社体制の企業です。

MEでは、「次世代を担う、経営メンバー育成」のため、代表取締役社長 小林(以下、小林)の人脈を活用し、社外の経営者を招いて、プロダクトからビジネスマインド、企業理念にいたるまでさまざまなコンテンツをオンラインで講演いただく、社員限定のMEオンラインサロンを開催しています。

▼「MEオンラインサロン」についてはこちら

第2回目となるMEオンラインサロンは、ビューティー領域にて日本最大級のヘアー領域特化型メディア「HAIR(https://hair.cm/)」を軸にWeb広告事業、サロン事業、D2C事業、プラットフォーム事業を展開する、リッチメディア社代表の坂本 幸蔵氏(以下、坂本氏)に登壇いただきました。本記事では、新卒時代からズバ抜けた結果を残し、挫折を乗り越えながら成長し続ける理由について紹介します。

▼坂本 幸蔵氏
1982年生まれ、大阪出身。摂南大学卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。同社初の通期新人賞を受賞。翌年より子会社の株式会社CAテクノロジー取締役に就任し、SEOトップ企業としての躍進に貢献。2010年6月、株式会社リッチメディアを設立し、代表取締役社長に就任。インバウンドマーケティング事業を皮切りにB to C事業にも着手し、自社メディア「スキンケア大学」を開設。その後、HAIRサービスを展開し「可能性を世界で最も開花させる」をミッションに掲げ、挑戦者があふれる社会を目指している。

「可能性を世界で最も開花させる」リッチメディアが誕生した理由

ビジョンにかける思い

坂本氏:会社を立ち上げる前は、「21世紀を代表する会社を作る」というビジョンに共感し、新卒でサイバーエージェントに入社しました。入社後は、自分のことを凡人と理解していたので、とにかく人のことを真似して吸収し、行動する繰り返しでした。結果を出している先輩のアポに同行させてもらったり、ボイスレコーダーで音声を録音したり、できることは果敢にチャレンジし、とにかく結果を出すことにこだわっていました。そして、結果的に新卒1年目で会社史上初のMVPを2回獲得したんです。

そんな矢先、もともと大阪で働いていた私に、2年目から東京の子会社で働く辞令が。とにかく驚いたことを今でも覚えています。最初は状況が分からなかったのですが、後からこれまでの功績が認められ、子会社の取締役に抜擢されたことに気づきました。

取締役時代もがむしゃらに仕事に邁進。とにかく挑戦の繰り返しでした。やりたい、と言ったらやらせてもらえる環境で、その環境がなければ、今の私はなかったと思っています。ただ、自分がさまざまなことに挑戦して結果を出している中、世の中の人はどうなのだろう?と、ふと立ち止まったことがあったんです。私は何でも挑戦できる環境にいるけど、世の中の人みんながその環境にいれるわけでもない。それがとても違和感だと感じました。

であれば、少なくとも自分が作れる規模感で、社会に対する影響力を持って挑戦する人たちを増やしたい、そう思って起業したのがリッチメディアです。

できないことは何もないし、できない人なんて誰もいない。これを世の中に証明するのが、私たちリッチメディア社が存在する意味・意義です。ないものをあるものに変えていくであったり、できないことをできることに変えていく。これらを大切にしているので、さまざまなことに果敢に挑戦していくような企業です。

美容系に特化した事業を展開している理由

美容業界は、不況にも強いと言われているマーケットです。ただ、美容師の目線でみると、「きつい・報酬低い・長時間労働」のように、複数の「不」が連鎖している業界でもあります。現在、マーケットシェア自体は若干減少傾向にありますが、美容室の店舗数は増え続けているんです。その数でいうと、25万の美容室が存在し、コンビニ店舗数の約5倍になります。

美容師が抱える「不」の要因が大きい市場であり、スマホの普及、SNSの普及、新型コロナウイルス感染症の影響によって美容業界も変革を迫られています。サロンワークの活動支援の最大化、サロンワーク以外の活躍機会の提供などを、デジタルの力を通じて実現するために生まれたのが「HAIR」というサービスです。

【HAIR(ヘアー)】ヘアスタイルで毎日が変わる。新しい髪型で私を楽しもう。
私たちが目指しているのは、美容業界で働く人々の活躍機会を作ること。今後も美容領域でさまざまなビジネスを展開したいと思っています。それが結果的に、私たちがミッションに掲げる「可能性を世界で最も開花させる」にもつながっているからです。

上場取消、組織崩壊、想像を絶する苦悩の連続。それでも「コントロールできるものを選択」し続けるのみ

想像を絶する苦悩の連続

実は創業して1期目から5期目まで赤字になったことがなく、すごい勢いで成長しました。もともと上場にむけて、創業期から株式公開準備するだけでなく、事業を伸ばし、人員も増やしていました。そういった背景もあって、創業から5年後、目指していた上場が決定。

しかし、上場日4日前に、さまざまな事情により、苦渋の決断で上場延期をすることになりました。そこからは、正直言って苦悩の連続でした。

何が起きたか詳細はここでは省きますが、事業をピボットせざるを得ない状況で、売上も激減。現預金から考えると、6ヶ月か7ヶ月の余命です、といきなり宣告されたようなものでした。それに加え、このような状況だったため、組織コンディションも悪く、組織はほぼ崩壊。

あきらめそうになっても、あきらめずに取り組んだこと

もう無理だ、と思いながら、どうするか考えて、考えて、考えて、色々なことを考えたんですけど、結果的にやったことは次の3つです。

1つめは、「コスト削減を一気に実行」です。日々発生している固定コストを一気に削減させました。コストの削減は一気にやるっていうのが重要で、これを長期化させると、回復転換させるのにものすごい時間がかかります。黒字化にしてしまえば、一定時間、伸ばす戦略と考える時間軸が生まれるので、これは経営として重要だったなと思っています。

2つ目が、「企業理念を再メッセージ」です。こういった状況下になると、メンバーたちも不安になってカオスな状態になるんです。そのときに気づいたのが、私たちが一体何者で、何をしていくために生まれたのか、というメッセージをあらためて伝える大切さでした。

このタイミングにメンバー全員で行動指針を変えたんです。企業理念はそのままで、今後この状況下においても大切にすることを全員で話して、決めていこうと。もちろん、去って行く人も一定数いましたが、ここで一緒に話したメンバーが今もなお頑張ってくれているので、みんなで話し合って、メッセージとして伝えるのはとても大切だと思っています。

リッチメディア社の行動指針

最後は、「悲観と楽観のバランス」です。このバランスを考えながら、さまざまな意思決定と実行をしました。まず、ワーストプランは何か、を頭がちぎれるぐらい考えました。例えば、今の売上さえもなくなったらどうしようとか、今の人員が全員辞めたらどうしようなど、最悪な状態の中でどうするかのプランを列挙。経営陣でトータル200個ほどです。その中から分類して、何から優先順位高くやっていくか、話しをしてプランニングしていきました。

一方で、矛盾しますが、最後はその悲観的に決めたアクションプランを、心の中では超楽観的に意識することです。「何とかなる」は、自分の中で言い続けました。でないと、うまくいかないことばっかり考えてしまうので、精神が崩壊してしまうためです。こういうときは本当に何とかなるわ!という気持ちをもつことが非常に重要だと思っています。

今があるのは、サイバーエージェントで学んだ土台があるから。新卒時代に学んだことが今でも染みついている

これらのことを乗り越えられたのは、新卒時代にサイバーエージェントで学んだことがあるからだと思っています。ここでは、新卒時代に私が大切にしていたことや、2年目で取締役に就任して、マネジメントに苦戦したときの話をしたいと思います。リッチメディア社立ち上げ後に本も出版しているので、もし、さらに知りたいという方がいましたら、後で読んでみてください。

坂本氏の著書『「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣』

先程もお伝えしましたが、私はサイバーエージェントで初めてMVPを2度受賞しました。こういった話を聞くと、坂本さんは他の人と違う、才能がある、センスがある、など言われますがそうではありません。先程も伝えましたが、私は凡人です。だからこそ、自分を理解した上で次の3つのことを意識して取り組んできました。

①コントロールできるものを選択し続ける

世の中、できるものとできないものって存在するんです。過去って事実なので変えることはできませんが、未来はこれからの行動次第で変えられますよね。自分と他人、意志と感情も同じです。これを理解できても、ビジネスの世界になると、できない方の選択をする人が多いと感じます。

つまり、会社側が・・・、上司が・・・・、〇〇が・・・など、コントロールできないものを選択し、そこに集中しているんです。これらはコントロールできないものなので、何も改善しません。大切なことは、コントロールできるものとそうでないものを分類し、できるものを自分でコントロールしていくことです。

②マストワンを決めて、やり続ける

マストワン。この言葉はご存知でしょうか。これは、今日一番のタスクを決めることを意味しています。タスクがたくさんある前提で、あえて一番だけを決めて、そこに時間を割くと、仮にやりたかったことが全てできなくても、一番はできたという自信もつき、実際に成果が増える、という意味をさす用語です。

よく新卒社員や若手の方にありがちですが、気合と根性で全部やります!とか、全部大事です!みたいな考え方をする人がいると思うんです。これ絶対やめた方がいいです。ドツボにはまると、成果出ない、疲れる、帰れないといった最悪なパターンに入ってしまうので。

私は、外部から見ると、気合と根性型に見えたようですが、実はマストワンを用いて、優先順位を考えて、要領よくタスクを整理していました。なので、しっかりタスクを精査して、マストワンを決めることはとても大切だと今でも思っています。何よりも、一番を決めてそれを達成できると自分の自信につながるんです。自分が成長できたなって実感が沸くのでオススメです。

③TTP(徹底的にパクル)

次はTTP。徹底的にパクル(Tettei Tekini Pakuru)の略です。とにかく、かっこつけずに良いと思うのは全て真似して繰り返しました。入社年次の浅い方は、どうしてもかっこよく見せなきゃ嫌!みたいな方たちが多いんです。しかし、それ意味ないです。

その瞬間がかっこいいと見られても、最終的には結果につながらないのでかっこよくみられないんですよね。なので、短期的なところを見るよりも、中長期的にサステナビリティに結果を出せる仕組みを作った方がよっぽどかっこいいです。

最終的には自分のものになり、スピードが上がるので、分からないこと・できないことを考えて時間を無駄にするよりも、結果を出すための仕組みを先人から学んで取り組むことをオススメします。考え方で言うと「守破離」みたいな精神と同じことだと思います。

入社2年目、取締役抜擢時代に編み出したマネジメント法

これだけ営業マン時代に結果を出していたので、スムーズにいっていたのではと思われがちですが、挫折しています(笑)。2年目に取締役を任せていただいた会社は、新卒6年目の社長と7人の新卒でスタートする会社で、正直大変でした(笑)。事業は大きく成長し、黒字を達成できていた一方で、組織内はボロボロ。

今だから言えることですが、離職が止まらず。人を大事にするって言って採用しているにもかかわらず、それが叶わず、非常に悔しい思いをしていました。
このときに身につけたマネジメント法について、2点皆さんに紹介いたします。

1つめが「結果の質よりも関係性の質」です。マネジメントを任された私は、メンバーの話しを聞かず、とにかくこうやったら成果が出るから頑張ろうぜ、頑張ろうぜ、頑張ろうぜ、と1日3回くらい言っていて、超スパルタマネジメントでした。

そんなときに出会ったのが、ダニエル・キム氏が提唱する「組織の成功循環モデル」です。

※マサチューセッツ工科大学 ダニエル・キム教授 提唱「組織の成功循環モデル」

私は、それまで結果の質にこだわっていましたが、関係性の質を変え、思考の質を変え、行動の質を変えると、結果につながるんだということに気づきました。

関係性の質を求めるため、まずメンバーとの共通認識・共通化できるものをどんどん増やしました。例えば、出身地はどこで、どういう性格で、何をやりたくて、どうしていきたいか、みたいなことをお互いで話す場です。

その上で、これまで私がやってきた結果ばっかり求めていた姿勢を謝罪し、関係の質を求めてから、厳しいことをどんどん伝えるようなマネジメント方針に逆転させました。すると、どうやったら結果が出るんだっけ、とメンバーが自発的に思考してくれるようになったんです。

考えが変わると、行動が変わって、連続的な結果につながっていきました。人って、お互いのこと分かっていないと、依頼もできないし、指摘もしづらくなりますよね。まずは分かり合うことが重要だと思っているので、お互いの出身地や、なんでリッチメディアを選択したのかみたいなことを、月1回の懇親会で飲みながら話す場を今も大切にしています。

2つめが「抽象のハシゴを結ぶ」です。私自身が目標達成意欲とかコミットメントが高いタイプなので、メンバーと話しているときに、何でこれほど目標達成意欲が薄いのだろう、と思うことがありました。最初はやる気がないのだと思っていましたが、話しを聞いていくと、目標の魅力度が伝わっていないと気づいたんです。

例えば、御社(ME)でもよくマネジメント研修などで使われていると思いますが、レンガの話しです。レンガを積んでいるAさん、Bさん、Cさんそれぞれにあなたは何をしているのですか、どんな仕事をしているのですかと聞くと、

・Aさん:「見ればわかるだろうが。レンガを積んでいるんだよ」
・Bさん:「レンガを積んで協会を作っているんだよ」
・Cさん:「集団で立派な教会を作ってみんなが救われる憩いの場を提供し、世の中に大きな価値を残すんだ」

と、それぞれの返答が異なります。つまり、行動レベルだけではなく、その行動にどんな目的があって、何につながっているのかをきちんと伝えないと単なる作業屋さんになってしまうということです。抽象のハシゴをしっかりつなげることが重要です。

ここで伝えられることは、全てはコントロールできるものに向き合わないと駄目だということ。要するに、自分次第。メンバーのせい、会社のせいにしても変わりません。自分の責任だと思って、何を選択するのか。日々の葛藤と共に、大事なことだと思っています。

最後に伝えたいこと

今日は、最後に皆さんに伝えたいことが2つあります。

① 30,000日。これ何の期間を表しているか分かりますか?

この数字、皆さん分かりますか?

実はこれ、日本人の平均寿命から出している計算で、人が人生で過ごす日数なんです。もし3万本のロウソクが立っていたとするならば、僕は今37歳なのですでに約13,000本消えていることになります。そして今日も1本消えます。皆さんも同じように1本ロウソクを消すんですが、後悔なかった1日といえますか?

僕はこの数字に出会ったとき、全くそう言いきることができなかったです。人生は無限にあると勝手に勘違いしていて、1日1日浪費してしまっても仕方ないと感じていました。

せっかく生を預かった以上、やっぱり後悔のないように生きて、自分自身が人生謳歌していくべきだし、謳歌していく中で、いろんな人に貢献したり、巻き込んでうまいこと何かを作っていったり、そんな日々にできたらいいんじゃないか、と思っています。

②とにかく行動してください

1個でも気づきがあったならば、今からでもいいですが、行動に変えてみて欲しいです。伝わったか伝わっていないかは、行動で表現できるものだと思っています。うまくいったかいかないか、ではなくて、何か1つでも行動に変えることで、目の前が変化するのではないかと思っています。

講演を終えて

セミナー後は質疑応答を実施。マストワンについての具体的な目標の立て方、なぜ起業するにいたったのか、人を採用する際の判断基準や判断材料はなにか、モチベーションが下がってしまうメンバーに対して目標設定のマネジメントどうされているか、などメンバーそれぞれが直面している課題や疑問についても回答いただきました。

メンバーからは、「コントロールできるものだけを選択する」という本質に気づけた、ワーストプランを200以上も考えたのは素晴らしいし、その観点を自分も持ちたい。マストワンを今から実践します、などの声が上がりました。
小林からは、「グループ経営をしていくことで役割分担も進み、一体感が薄まりやすくなるタイミング。だからこそレンガの話しにあったような、部署ごとの意味や意義をマネジメントメンバーには一緒に働くメンバーに伝え、大切に進めてもらいたい」と感想を述べていました。

今回のセミナーを終え、起業してからの話、新卒1年目時代の話、新卒2年目で取締役になった時代の話、の3つに分けて話をしてくださいました。それぞれのフェーズによって、内容は異なりましたが、「コントロールできるものを選択し続ける」という一貫した姿勢は、同じように思いました。どんな困難が直面しようと、コントロールできるものに目を向けて乗り越えるのみ。
ビジネパーソンとしてはもちろん、マネジャー観点でもどのような視点やマインドをもつことが大切か、勉強になる大変貴重な時間になりました。


セミナーの最後は、坂本氏と一緒に、MEの今期テーマ「MEX」になぞって、「X」ポーズを。

Zoomの仕様上一部のメンバーのみですが、「X」ポーズの様子をご紹介

「持続可能な社会を実現する最適化商社」というビジョンに向かって進むME。学んだことを、それぞれの部署・役割でアウトプットしていけたらと思います。今後もMEブログでは、MEオンラインサロンについて特集いたします。

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株式会社マーケットエンタープライズは東証プライム上場企業です。「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、ネット型リユース事業を中心に、メディア事業、モバイル通信事業を展開しています。

記事を書いた人

岡戸 亜樹

MEジャーナル編集長

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